時刻は22時50分

観劇とかの感想を緩く的外れに。

100点un・チョイス! 舞台「team」雑感

舞台「team」雑感

11月半ばから年末にかけて所謂繁忙期と呼ばれるものに突入する職種についているんですが、結局なんだかんだで今年の年末も推しくんにお仕事が入りましたね、と丁度あいていた公休で遠征してきました。2019年推しくんおさめ。もう一人の推しさんおさめは12月半ばなんですが。
 師匠も走れば夜行バスも走りますよ。勤務時間も伸びに伸びるよ。やったね。
 
 さて、というわけで演劇ユニット 100点un・チョイス!さんの舞台「team」を観劇してまいりました。
 今回は28日のソワレ、Bチームですね。
 100点un・チョイス!さんの舞台は実に二年ぶり。以前「8」という舞台を公演されていて、推しくんも出演してはったんですね。「8」はクリスマスのクルーズで起きる殺人事件の話で推しくんは犯人の一人で「ついに推しくんが人を殺した」だなんて内心小躍りしながら楽しませてもらってました。いやだってそういう役も見たいじゃん。物語のありとあらゆる役を観たいじゃん。
 
 今回もネタバレありです。今週の週末まで公演している舞台なので未見の方はご注意くださいね。
 
 「team」のあらすじをざっくり言っちゃうと、舞台はとある舞台の本番直前、最終稽古当日の稽古場。脚本家の方針でクライマックスの場面は最終稽古の時まで知らされていないというちょと変わったシチュエーション。しかし稽古の時間になっても脚本家と主演の二人は来ない。狼狽える座組、そこに一本の電話が掛かってきて脚本家が事故で病院に運ばれたと伝えられ、更に主演とは連絡はつかない。主人公達役者、スタッフ陣の頭に過る公演中止の文字。しかし演出家は稽古の続行すると言いだして……。という聞いていて胃が痛くなってくるようなお話です。でもコメディ。
 
 何事においても不測の事態っていうのはどうしてもあって、それに対しての向き合い方ってその人となりが出るとは思うんですが、今回の登場人物もその〝不測の事態〟に対しての反応もそれぞれで、脚本や主演が不在の中で稽古を続けようとする人、それを無意味だと言う人、プロデューサーに連絡したい人、このまま稽古を続けていいのか迷う人と様々で、それはどの人も間違ってはいないしだからこそ同じ座組内で衝突してしまう。そもそもこうなる前から公演に向けた意識もそれぞれ違っているのが浮き彫りになっていくのも、そういったお互いの思いを知っていくのも、いい意味で人間臭い舞台。虚実入り交じりながらも座組目線から見る〝舞台〟とは何かというものの一端を覗き見た気分になれるお話でした。
 普段わたし達が見るものは板の上での彼/彼女達だけじゃないですか。最近はインターネットやSNSが発達したからこそ稽古場や楽屋の一部を見る事も多くなりましたがやはりそこは公演に向けてのPRを目的としたもので、彼/彼女達が日々過ごす一ヶ月近くの稽古期間の全てではない。わたし達が見る事のないその期間の中で、わたし達が知らない裏方の人達も含めて、公演の期間が長かろうが短かろうがそれを見せる為に試行錯誤し動いていくんだな、と思えるような舞台だったなぁと思うわけです。アイテムさんが劇中で座組に言い放つ台詞が印象的だったんですよね。公演できればいいものではない。確かにあの状態で公演されたらわたしだったら怒ると思う。
 脚本のラストも判明して主演もとある理由で数時間いなかっただけで無事だったし、座組が成長できてハッピーエンドだったんですけどそれでもホウレンソウは抜かっちゃだめだよぉ!
 仕事中のホウレンソウの大事さを感じることが出来るお話でもありましたね。
 
 コメディということで笑える要素も多かったのですが、シュールでパワープレイな笑いが好きなわたしはひぃひぃ言いながら観劇してました。秘書の方とアイテムさんの電話のくだり(「はいはい……え?」)は本当にツボだった。ああいうの好き。分かってるんだよ中身のない笑いなのは……好きなんだよ……。
 推しくんは失踪した主演役だったんですがあの混迷とした現場でいたらどんな演技をしていたのか少し気になりつつ、仲間の役者にダメ出しするクールな役者を演じられていて「おお……」と思ったり。苛立つ演技とかちょっとした感情の揺らぎとかを演じるのが本当良い役者さんです。あの夢のシーンよかったなぁ。
 そう、一番好きなシーンが主人公が熱に魘されて見る夢のシーンでして、公演後にお友達と喋っていたのが体調悪くて熱出してる時に見る夢がああいう感じだよねでした。分かる……夢って理解してんだけどあのふわふわした感覚。分かる。
 その中で脚本家さんが言っていた「我々作品を作る側は結末を知っているが、観客は結末を知らない」という旨の話も好きで、わたし達観客は事前に提示された〝あらすじ〟というヒントしか与えられなくて、結末を知るのは劇場でなんですよね。その公演を見るまで、わたしは今回見る劇はどういう話で、どういう結末なのか、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、推しは死ぬのか死なないのかとかまぁ色々妄想逞しく過ごすんで、ここも分かりみが深いなぁと。それこそこの「team」という舞台も、観る前も観ている時もどう着地するんだ……?って感じでしたし。趣味で物書きをしている身からしたらああ、そうだよなぁと思うところがありました。
 
 あと印象的な登場人物といえば演出助手(という言い方であってるのかな)の女性の方、演出家と役者とプロデューサーとの間で板挟みになりつつ必死に現場を回そうとする姿と身体をはったフォローがめちゃくちゃ可愛かったです。いやあのキャラ好きですわ……。
 それと小道具の種田くん。演じられている山中翔太さんは六月の「初等教育ロイヤル」で一度観ていたのですが必死に頑張る姿が本当に似合うし、頑張ってるのにどこか空回っているのが愛らしく思えてしまうのがとっても良いと思います。隅っこで色々やってるのも気になってしまう。
 プロデューサーのアイテムさんと秘書さんのやりとりも面白かったなぁ。アイテムさん役の相馬あこさんは前回観た時も思ってたんですがクールな役どころが似合う方で、今回の役どころも稽古場全体をしっかり締めつつ、キレのいいツッコミが心地良くて好きです。あと和服すごい似合う。
 
 Aチームも観たかったなぁ、と思いつつ。笑えて色々考えさせられる舞台でした。

アイチュウ・ザ・ステージ -ROSE ECARLATE DEUX- 雑感


10月10日のゲネプロ及びソワレに行ってきました。前日と前々日はテニミュ秋の大運動会を見に行ったんですがそれはまた機会があれば。
 (一言言及するならばテニミュ(テニスの王子様)というもののコンテンツの凄まじさ、福利厚生の厚さ、これは他の企画運営では容易に真似出来ないだろうなと圧倒されました。長年続いてるコンテンツは強い)
 

今回もネタバレ含みます。特に今回はそれ知りたくなかった~!初見で知りたかった~!的な内容も含まれますのでご注意ください。(しかし堂々とネタバレする公式さんよ……)


 アイチュウ・ザ・ステージ、2017年夏の初演から続いているリズムゲーム原作の舞台ですね。今のところ本公演とライブ、本公演再演、ライブという流れで続いています。個人的には2017年の初演から観ていて、本公演と再演はなんだかんだで一度は観にいってるのですがライブは今年初めて行きました。
 原作はとりあえずやってみるかーと2017年公演の前にインストールしたのに三話で投げて、そして去年の12月ぐらいにハマったという感じです。3部まで完走済。再燃は黎朝陽くんのせい。原作の推しはラビさん。尚原作、10月付けでイベントとガチャの更新がほぼ止まるとのアナウンスがありました。メインストーリーとか音ゲーはプレイ可能。来年春に新アプリがリリースとのことですが果たして。)
 
 今回公演のレポの前に2017年のアイチュウ・ザ・ステージ(以下アイステージ)の事を書こうかなと思います。個人的に所謂ソシャゲというものにあまり馴染みがなく(課金ガチャという本人の努力ではどうやってもどうしようもない部分があるというのが理由の大部分)、更にアイドルというジャンルにも馴染みがなく(これに関しては本当に馴染みがなかった。オタクとして有名どころは知ってるけどレベル)、とりあえず当時まだ活動したてホヤホヤの推しくんが出る。ダンスが壊滅的な推しくんが出る。原作のファンミーティングでお披露目だったらしい。
 アイチュウとは、なんぞや。
 そんな未知の領域への不安とアイドル役をちゃんと出来るのか推しくん、という不安のままとりあえずゲーム先行を応募したという経緯がありまして、更に大阪公演のゲネプロにも当たって右も左も分からないままぼっち参戦。とりあえず推しくんのグループは覚えた。あとは分からない。ペンラは初めて振る。なんかとりあえず楽しもう。わかんないけど。
 
 気がついたら大阪全通してたんですよね。
 
 いやあの、9割キャラが分からない状態で行ったんですけど本当に楽しかった。キャラも濃いのばっかりで何より曲がわたしの好みに合ってたっていうのが最大の理由なんですけど、ともかく楽しい。あと推しくんが思ったより踊れていたのもあるのかもしれない。
 ペンライトはキラキラして綺麗だし、コールも分かんないから最初聞いてただけだけど、一体感がすごい。アイドルのライブに行くという楽しさがギュッと詰まった感じ。観客の歓声のデシベル数値で優勝を決めるコンテストって面白すぎません?観客フレンドリーかつちゃんと線引きが出来ている司会進行のあり方も好印象。大阪折り返しにはもうコールもおっかなびっくり叫んでた。

 気がついたら東京一回だけ行ったんですよね。それぐらい楽しかった。
 
 (出演していた方々の中に2年後どハマりする事になる新たな推しさんの名前を当時のわたしは知らない/いやキャラとしては覚えてはいました。人見知りやけどダンスキレッキレやなって/なんならハイタッチもした。顔が強い人だなって思ってた)
 
 アイドルものに全く馴染みのないわたしでも楽しいと思える舞台なんですよね、初演の再演もシャッフルユニットという追加要素もあり、推しくんは一回こっきりで卒業したのですがなんだかんだで行こうかな、となる舞台、アイチュウ・ザ・ステージ。
 
 2017年版は所謂主人公グループの同級生達(三期生)がメインのストーリーだったのですが、2019年春の新作、アイチュウ・ザ・ステージ-ROSE ECARLATE-はその先輩である二期生がメインのストーリーです。今回はその再演。
 春公演も朝陽くんゲスト回に行って、今回も丁度良くテニミュ運動会の次の日だったので観劇出来ました。今回も様子がおかしかったですがとりあえずパンダの帽子が可愛かったです。ファ○リーマートの肉まんの売り上げも上がったと思う。我有相同的意见。
 
 本編のお話いきましょうかね。春公演の時はストーリー自体は良いのに演出面で惜しいなぁという所が多々あったのですが今回はその演出面のいらないところをバッサリ落として観たかったものを観る事が出来たので個人的には再演として最高だと思いました。
 春公演で惜しいと思った所なんですが
 ・オーディションの進行の微妙なテンポの悪さ(最後のあたりの唐突とも言える展開)
 ・需要があまり見当たらない客いじり(おそらく衣装替えの為)
 ・前回公演では十分にあったグループが1位をとることの意義がない(1位、2位がテーマ曲をかけてソングバトルした後優勝を決めるのですが、優勝した事に対する所謂ご褒美てきなものが無かった)
 ここら辺でもやっ……となってたんで、再演で客いじりが無くなり日替わりゲストのインタビューが追加され、ソングバトルの事前告知の台詞も追加され、更には劇中で勝ち取る対象である「赤薔薇の英雄」の予告風の寸劇と新衣装、新曲がその回の優勝グループで観られるという新要素が追加という観客的にはそれ、それが観たかったんだよぉ!願望が叶う形になったのが印象が好転した大きい理由かなぁと。

いやだってWe are ICHUの後でアレが来た時は本当に鳥肌が立った。ゲネプロと初日で感謝したもん。ポカーンってなりますよね、アレ。それだけ再演としてのサプライズ感が強かった。追加要素という名の新曲。追加要素があるので本編のテンポも良くなってたのも結果どーだいもとい結果オーライ。
 若干ん?となったところといえば再演前提の台詞があったとこかな……再演といえども初見の人もいるし、そこは世界観を重視してもらえればいいなぁと思ったのですが、難しい案配だよね、春ぶり!って言ってもらえるとテンションあがる人はいると思うから。好みの問題かな。
 
 ライブに関しては相変わらず最高ですね。かっこいい、かわいいの嵐。青空エスケープの楽しさは是非体験してもらいたい。あと相変わらずエヴァ様はエヴァ様でした。裏切りの果実の台詞が完璧すぎる。
 あとねえ、やっぱり主人公グループのF∞Fでぐっときちゃうんですよ。推しグループはI♥Bなんですが、F∞Fも大好きで、曲がね、全部刺さる。アイチュウプレイしたことない人はF∞Fの曲だけでも聴いて欲しい。元気になる。2017年版公演からI am a HERO!に励まされてきた人だぞわたしは。
 なので今回10日ソワレ公演でF∞Fの優勝がみれてよかったなぁ、と思いつつ。ゲネプロはポプスタが優勝でした。これ全グループの優勝が観たいです……。
 また本公演でI♥Bが活躍するところも観たいですし(夏のライブ出演は奇跡だと思う。推しさんのスケジュールがカツカツだった)、一期生の天上天下や零期生のアルケミも観たい。葵さんが舞うところみたいし個人的にはバベルくんがめっちゃ観たい。
 
 12日は残念ながら台風で中止が決まっていますが大千秋楽を無事に迎えられますように。
 あと末永く続いてください本当に。出来る限り行くから。ほんと。コンテンツも続いてほしい本当に。

爆走おとな小学生「魔法少女(?)マジカルジャシリカーマジカル零ーZEROー 雑感

2019.9.5~16
 魔法少女(?)マジカルジャシリカ マジカル零-ZERO- 雑感
 
 まずは2週間、お疲れ様でした。今年三回目のジャシリカシリーズ、三月のマジカル大戦、四月のジャシステ再演を観劇してすっかりジャシリカシリーズに沼ってしまった身としてはいかなければならない。また推しさんが魔法少女だ。今年三回目だ。
 行かねばならない。
 しかして地方民の悩み的に一週目、二週目を続けていくのはちょっとしんどい。

……というわけで今回は二週目の週末に行ってきました。中々判断が難しいですよね。というのもおとな小学生さんの舞台、といいますか脚本演出、そして役としても出演されている加藤広大さんの書くお話、基本的に複数回観劇をすれば噛めば噛むほどなんかヤバいうまみ成分が頭をぶん殴ってくるような作風でして。勿論初見でも楽しめます。ただ千秋楽は特別版みたいな感じが強いです。そこは賛否両論かな、わたしは好き。
 
 さて魔法少女(?)マジカルジャシリカシリーズ、所謂魔法少女もののお話なんですがマジカルな事に男性も魔法少女になるという一見するとネタにしか見えない要素がぶっこまれてるんですが、まるで少年漫画のような熱い展開、そして推し魔法少女見つけた?その推し、死ぬよ。レベルの驚異の死亡率を誇っちゃうような展開で今回のマジカル零が三作目、そして現時点で一番古い時系列のお話となります。
 というわけで以下、マジカル零及びマジカル大戦、アニメ版なんてありません(再演/初演は未見です申し訳ない)のネタバレを含みます。マジカル零が初見でまだマジカル大戦やアニメ版を観てない方は是非DVDを買ってください。ゴシップ舞子はいいぞ。
あらすじとしてはマジカルリエコという世界を救った魔法少女に憧れて幼馴染みの優花と共に魔法少女専門学校に入学する神崎さくらを主人公とした学園ファンタジーです。
 魔法少女見習いは全部で19人、10人が女の子、9人が男の子。全員個性が強めの登場人物ばかりで魔法少女になりたい系男子の9人をあげると成績優秀だけどどう見ても怪しいお姉さんが二人、童貞卒業の為に魔法少女になりたい元男子二人、武士、頼れる塩、ロボット、体臭がココナッツ臭のキュンキュン系元男子、背が高くて臆病で虫も殺せない性格の元男子と今これ書いててちょっと意味分かんないですね……と言いたくなるような面々なんですが、演じてらっしゃる役者さんも素晴らしい方々ばかりでただのキワモノ系ではないんです。気がついたら推し観に来てたのに推し以外に推しの魔法少女が見つかってしまう。こんな筈では。
 女性陣もなんかもう全員可愛らしいわ歌上手いわ演技うまいわで魔法少女になりたい系元男子という出落ち設定に食われないレベルに設定的にも濃いメンツ揃い。セラミュのネプチューン演じてた方(藤岡沙也香さん)がいらっしゃるの知った時ちょっとびっくりしましたね。
 
 前半は学園生活、後半は卒業後の世界を救う為の任務を軸に話が進んでいくんですが、卒業を境に主人公の神崎さくら、その幼馴染みの優花を軸にとあるギミックが仕掛けられまして、ぶっちゃけちゃうととある日、卒業試験に向けた男女の合同授業の際に男子組成績トップの一人、桜木の放ったマジカルからさくらを守って優花が死んじゃうんですね。ただ卒業後もさくらの視点で話が進むんですが、優花は学生時代の制服のまま(卒業後は任務用の青い衣装に替わります)さくらの手をしっかり握って側にいる。卒業式の時点でそのままなのでおや?となってたんですが何の説明をされないまま、優花だけパートナーがいないままさくらの手を握ってさくらを肯定し、敵と教え込まれた巨人族や妖精族を殺すさくらをにこにこと見守っている。最後の最後で真相が明らかになるんですが、ここのギミック、最初優花という幼馴染みは本当に存在したのか?と疑心暗鬼になるほど情報が少なくて、混乱していたのですが。さくらがいつも抱っこしていた(優花がプレゼントした)ウサギのぬいぐるみが卒業後は無いんですよ。その代わりに優花の手をずっと繋いでいる。つまりつまるところ、そういう事なんだなぁと謎が解けた時うっわぁー……ってなりましたね。マジカル先生や桜木が時折ぽんぽんと優花の頭を撫でてるのもそういう事なんだろうな。
 
 今回のテーマ、というかジャシステシリーズで一貫して感じているのが「自分の信念や道は誰かに受け入れられるものではないけれど、それを肯定してくる誰かはきっと居て、でもそれが正しいのか間違っているのか分からないけども」っていう人間関係の危うさだったり、自分が見ている世界と他人が見ている世界の差異の話なんだって勝手に思っているんですけども。例えば今回だと上記のさくらと優花だったり、最後まで自分達が変わってしまったと訴え続けた菊池エネルギーと、最後の最後で彼の考えを聞き、疑問を持ち、彼女を信じる事にした小池ソルトだったり、ある意味最後まで変わらなかった、というよりも変わってしまっていたのを気づくことがなかった原田ケンサブロウ等と色んな登場人物の同じ世界で見るものの違いから生まれてしまった悲劇の話ですし、マジカル大戦だと主人公黒田ちえみとパートナーであるジョポニック山寺のお互いに抱く見方の相違が、土壇場でやはり悲劇になる。この二作の悲劇の上で最後のアニメ版なんてありませんはそれぞれの立場の違い、それは悪意があったり思い違いだったり、どうにもならない環境だったりと前二作と違って最初から真っ向に対立する中で最後に向き合い、歩み寄って、少しだけでも理解しあって前に進むっていう光の話だと思ってます。
 「あちしらしく生きる」為にも欠かせない事だよなぁ、相互理解と歩み寄り。
 
 気になったキャラとか役者さん語りましょうかね。
 
 神崎さくら(石原美沙紀さん)
 ジャシステシリーズでアニメ版なんてありませんの主人公、マジカルジャシリカこと石野崎美沙子や今回の魔法候補生が目撃したマジカルリエコを演じてらっしゃる方です。
 前回のアニメ版なんてありませんのジャシリカは終始フリーダムな仲間五人の面倒を見るある意味保護者的なポジションだったのですが、今回は保護される側。
 ふわふわ天然系で幼馴染みに甘えるさくらを可愛らしく、時にうっとおしく(笑)演じてらっしゃるのが本当素敵ですよね。終始一貫してふわふわしたさくらだからこそ、終盤の無邪気さからくる邪悪さがむき出しになってくるのが初見で怖かったです。
 目ですね、殺しちゃっていいのー?とかごめんね妖精さんの時の目がめっちゃ怖くて、いやすごいなこの方、と毎回思うんですが。
 さくらちゃん、ああいう子がクラスで一人いたら愛されるかそれともハブられるかのどちらかだと思うんですが幼馴染みがいた事でいいバランスで中心にいれたのだろうなという印象。優花を失って環境が変わってしまった事を受け入れられずにウサギのぬいぐるみを優花と思い込む事で、最後には自分(と桜木と栗原)以外の全員が死んだことも分からずに青春を謳歌していると思い込んでしまうのが妄想癖を持つ彼女が出来る唯一の自分の保ち方なのかなぁと。あの後彷徨ってどこに行くんでしょうね、彼女。タピオカ飲みにいくかな、イマジナリーみんなで。
 
 優花(林千浪さん)
 おと小舞台の安定したツッコミ役というイメージですがボケも安定してるので芸達者だなぁと毎回感じております。ぶぉんぶぉん。マジカル大戦でマジカルデニールこと黒田ちえみ、アニメ版なんてありませんで黒幕の女を演じてらっしゃるのですが、マジカル大戦のちーちゃまは見てない人には本当に見て欲しい。黒幕の女も好きなんですよ。
 今回の役どころはしっかりものの幼馴染みということで小言を言うシーンも多いんですが、事件後の優花との演じ方が好きです。優花はそんなこと言わないけどある意味イマジナリー混ざった優花だからさくらの事全肯定しちゃうし、一緒にふざけて妖精族をいたぶっちゃう。でもちゃんと優花はそこにいて、桜木の事睨み付けたり最後に二人からさくらを守るように立ちはだかる。真ん中で幸せそうに立つさくらを見て、語りかける優花の声の優しさがこの話の救いのなさを強調していると思ってたりです。
なんだかんだいいつつ彼女もさくらに依存し、壊れてしまったさくらを肯定して守ろうとしているのがもう、ね。枯れた世界の終わりでも、皆が、自分が死んでしまったとしてもさくらがいればいい、そんな子。多分ずっとさくらの手を握り続けてどこまでも守っていくと思います。すごい、ハッピーじゃん。
 
桜木クロニクル(河原田巧也さん)
前回のアニメ版なんてありません(再演)のフルスイング晶子を演じていらっしゃていて、彼女とはまた真逆のキャラクターですよね。河原田さん、わたし的にはずっとペダステで観てて、まさかの魔法少女配役にだいぶびっくりしたのが四月の再演だったのですけど観てきた河原田さんが割と光属性寄り(新世代の泉田くんは立ち位置上若干ヒール属性/いやでもキングダムの泉田くんは本当に良い…)な印象だったからか今回演じられた桜木クロニクルのあの妖しさ抜群のキャラクターはわたしはこんな河原田さんが観たかった大賞。二週目の千秋楽付近しか観てないんですけど、演じ方ちょいちょい変えてはったなーと思いながら観てました。圧が、圧が強い。いや磯辺餅のあたりもなんだけど。本性出てくるにつれてめっちゃ怖くなってくる。もう隠すことしなくていいもんね、喋り方の邪悪さがひええってなる。菊池に「図星か」って言われたシーンの笑顔が本当怖かった。あれ下手で観たかった。
 千秋楽日のラストの忌々しげに優花を睨み付けてギリギリしてる桜木はきっと完璧主義者。栗原との対比でまた美味しいですよね。完璧主義者の桜木、享楽主義の栗原ってイメージ。彼女たち、続編があったら出てくるのかなぁ。それともどっかのタイミングでくたばったんだろうか。また悪巧みしてるの観たいなぁ。
 
 栗原ノンシュガー(伊藤節生さん)
 マジカル大戦のジョポニック山寺を演じていらっしゃった時に初めて伊藤さんを観たんですけど、舞台映えする方だなぁという感想を抱いてまして。今回はその感想を改めて実感。何ですその色気!?
 ジョポニックはこう、若干拗らせながらも善性の持ち主で、最後の最後で全うな理由からパートナーを憎んでしまうんですけど今回は悪意の塊。悪意しかない。ただニコニコクスクス笑っているだけで悪意。すごい。好き。
 いや傍から見たらいやお前めっちゃ妖しいやんみたいな笑顔を常に浮かべてるんですけど、あの笑顔と目が合ったら抗えないマジカルを脳天に叩きつけられる感覚に陥ります。魅了持ち怖い。あと、殺陣もいいんです、指の先まで魔法少女。可愛らしさと邪悪って両立するんだなぁ……。
 印象的だったのが合同授業で後ろの方で座ってにこにこ笑って見守ってたシーン、終始笑顔でこのクラスメイト達がどうなろうと面白い、ただそれだけっていう、寧ろ興味が無いという事を強調しているような振る舞いが、ね。あとは「申し訳ありませぇん」の言い方好き。特に申し訳なく思ってなさそうなのが百点満点。
 出来る事ならもう一度栗原ノンシュガーの笑顔にマジカル叩きつけられたいです。魔性の魔法少女……。
 
原田ケンサブロウ(登野城佑真さん)
 マジカル大戦、アニメ版なんてありません(再演)からの今回三作目の出演の登野城さんですね。前二作を観てない方は是非再演のゴシップ舞子ちゃんを観てくださいとダイレクトマーケティングしておこう……。
 毎回素晴らしい殺陣とキレキレかつかわいいダンスが印象的な方なんですけど、今回の殺陣は一段とすごかったですね。OPからちょっと意味の分からない動きしてた(褒め言葉)。それとまさか登野城さんと山田さんの殺陣が見れるとは思わなかったので一人で勝手にテンションあがってました。ツボがおかしいのは自覚してる。
 マジカル使えない日本刀装備の戦える魔法少女。物理強すぎて物語の展開上、力が一部制約されてる強キャラのような設定で大変好みです。ありがとうございます。実際マジカルソード使えるようになったら妖精のマジカルも一刀両断出来てるので実際攻撃面ではとても強いんだろうな。状態異常に弱いっぽい所もマジカル物理って感じがします。マジカル物理はいいぞ。
 あと長谷川とのマジカルソードの会話から何回か長谷川の手首を斬るシーンがあるんですけど、一回も謝ってなさそうというか寧ろそこにいたお前が悪いとでも言いたげな視線を投げてたのが印象的でして。早々に自分が持っていた道徳とか倫理観を捨てていたのかなぁと考えてます。そうだね、諸行無常だね。
 最早彼が鳴き声レベルで呟いていた〝諸行無常〟ですが広辞苑で調べたら
 
仏教の根本思想で、三法印の一つ。

万物は常に変化して少しの間もとどまらないということ。

 

と出ました。儚い魔法少女そのものやん。
  
 小池ソルト(新井雄也さん)
 マジカル大戦でソレンジャーアクセスを演じてらっしゃった方です。ソレンジャーアクセスの時が初見かな?ダイナミックな殺陣をされる方だなぁと思ってたんですが、調べてみると忍ミュに出演されてる方でした。成る程と納得。
 いやね、しおちゃん。今回個人的MVPです。しおちゃんめっちゃいい子。若干の雄みを残しつついいお姉さんなのが本当好き。序盤から菊池の話を遮ることなく聞き続けてきた人。こういうのって中々出来ない事で、その点強いよねって思う。疑うことのなかった価値観が、もしかして間違っているのかもしれないと言われた時に間違っているかもしれないという可能性を拒絶するか、それとも一度立ち止まれるか。
 好きな台詞がありまして「ああ、あたし死ぬのか……女のまま死ぬのか」っていう台詞なんですけど、申し訳ないちょっとニュアンスです。目の前にした死の恐怖と自分の本来の性を無くしたまま死ぬ事への恐怖や諦めを抱きつつ立ち向かう様が最高に泥臭くてエモい。こういう台詞からもしおちゃんが自分を見失ってなかったっていうのが感じられるのが本当に好きです。菊池とのあのやりとりはグッとくるよね。
 
 菊池エネルギー(室龍規さん)
 マジカル大戦、アニメ版なんてありません(再演)を経て三度目の方。マジカル大戦で面倒見のいい兄貴分、再演では後ろめたい過去を持つ歌のお兄さんからの背が高いのに虫も殺せない気弱な男の子と振れ幅がすごい。前回拝見したのがナイコンさんの12人の怒れる男の大阪公演で、その時はヘイト丸出しの怒鳴り散らす役だったんですけどそれも相まって今回びっくりしました。
 今回の裏ヒロイン。与えられる価値観を最後まで拒絶しながら、変わっていく周囲にそれはおかしいと訴え続けた強い人。気弱だと嘲笑されがちなんですが先生にも最後まで抗議するあたり気弱っていうわけじゃないと思うんですよね。しおちゃんに届いたのが救いだったなぁ……。観ながら(菊池ぃ……!)ってなってたもんわたし。
 田中と大山の言動見て「男子ってほんまアホ!」っていうのとしおちゃんに理由を聞いてからの「アホ」のニュアンスが好きでわかるー!ってなりました。
 
 長谷川ココナッツ(須永風汰さん)
 アイチュウ・ザ・ステージが初見ですごく可愛らしい雰囲気の方だなぁって印象を抱いていた(役的には元不良のロシア人のドラマーアイドル)なんですが、六月の初等教育ロイヤルで恋人をマシンガンで撃ち殺した後の笑顔にゾッとしたのが記憶に新しいです。
 いや可愛らしさとオラつき具合のギャップすごかったですね。魔法少女になるためにキュルキュルしたぶりっこを演じていたんだろうか……。
 彼女といえばココナッツ臭なんですが二列目でふっと香る甘い香りがわあ、ココナッツ……ってなりました。ココナッツオイルって冬になると白い固形物になるんだぜ……。
 自分でも分かってたのにココナッツの理由が分からないと思い込む彼女が、原田にステッキでマジカルが使えないなら刀で使えるとある意味思い込ませる、巨人族や妖精族を殺せるか自信がないという柏木に自分は感情のないロボットだと思い込ませるきっかけになるのが、結果はどうあれ思い込むという側面の良い部分を見せたのが闇深いなぁと思ってます。そしてその結果、助言した原田にそのマジカルソードで致命傷を与えられ、助言した柏木に思い込みでない(……と信じたい)、今までいなかった友達という関係を与えられるのがなんだか、くるものがあるなぁと。
 ある意味自己中心的な人間ですよね、ココナッツちゃん。ホナーちゃん殺された所とか特に。
 
 柏木ロボ(副島和樹さん)
 今回初めましての人にして日替わりでもの凄いインパクトを残した方。ジャヤヘー。いやすごかったですね、何がすごかったのか正直あれは一体なんだったんだ?って今思うと考えちゃうんですけど。あの綺麗なビジュアルで美脚のおまじない観た瞬間この人やばい人だと思いました。すごい。中毒性ある。
 ロボットだけどロボットじゃなかった人。ロボットの動き素晴らしかったですね。視線もロボット特有の無機質さが現れていて。機械の動作特有の止まる一瞬の揺らぎみたいなのが好きです。ロボットじゃないと桜木と栗原に言われて思い出した時の悲痛な叫び声も印象深いです。最後の戦いで戦いが嫌な自分に戻れてよかったって言ったのもいいなぁ、と。思い込んだままが幸せだったとも言えるわけで。
 
 安藤愛莉(小野早稀さん)
 この方も初めましての方。けもフレのアライさんなんですね。けもフレ知らないけどアライさんを知っているのはなんかついったでよく見るから……。
 後で知ったのですが今年の初等教育ロイヤルで山田さん演じてらっしゃる事を知って、今からDVDが楽しみです。ティファニーちゃん……。
 わたし、最初に観たのが13日ソワレで着席ラブリーの所がやたらドスのきいた声で「えっこういうキャラなの?」と思いましたが翌日違うと判明して逆にジワジワきました。日替わりめっちゃ笑った。
 可愛いですよね、ラブリーちゃん。生まれ持ってのラブリー。ぶりっこじゃないと思うんですよ。生まれ持ってのラブリー。
 事あるごとに原田をかわいいと褒めてマジカルが使えない事とかを欠点として扱わない言動は後方支援の鑑だと思います。原田ちゃんめっちゃ嬉しかったんじゃないかな。顔面赤面してるし。
 原田とラブリーコンビはある意味最後まで変わらなかった(変わっていった事に気づかなかった)コンビですがそれが最後まで二人で生き残った要素なのかなとも思いますし、二人とも振る舞いたいように振る舞ったら生き残ってたっていう感じ。そういうの一番強いと思う。丁度いい距離感。
 
 
 田中大山の童貞組とか、卑弥呼さまとかカタカタさんとか巨人族とか妖精族とかというか全員分語りたいけどもうそろそろ文字数がアレなのでここまで。
 
 ジャシステは人間のエゴを見せつけてきながら、それすらひっくるめて愛だよなぁとか思ったり出来る舞台だなぁと思ってます。
 
 なのでアニメ版なんてありませんの初演版DVDを再販して下さい本当お願いします。

ナイスコンプレックス「12人の怒れる男」雑感

12人の怒れる男 雑感

 

 7月20日、21日東京公演と8月2日、3日大阪公演とでナイスコンプレックスの12人の怒れる男を観劇してきました。こちら昨年の9月にも同じ公演をされていまして、その時はスルーしていたのが後になってだいぶ悔しいなと思いつつDVDでは拝見していたのですが、今回渡りに船というわけでいってきました。

 東京公演は20日怒濤の三公演、1公演1時間50分程でそれが×3。出ずっぱりの役者さん達が円卓を囲んで熱演するのを観るのは(勿論演じる方も)かなり体力や集中力的に気合いをいれていかないとなぁと思いつつ、いつも通り夜行バスに乗っていきました。薬を忘れてうとうとしか出来なかったのはわたしのうっかりです。

 さて12人の怒れる男、海外の映画が原作で舞台は夏の陪審室という名の密室。各々生まれや立場、思想が違う12人の男が、見知らぬ父親殺しの少年が「有罪」であるのか「無罪」であるのか(この場合「有罪」か「有罪ではない」の言い回しがいいかもしれないですね)、全員の意見が一致するまで帰れない。クーラーが壊れた夏の陪審室、11人の男達は少年を有罪だと確信していて陪審も彼の有罪ですぐ終わる筈だったのだが…? ざっくりしたあらすじはこんな感じ。人生で関わった事のない少年が、「有罪」であるのかそうでないのかの意見を理論的に、時には感情的に、茶化し、怒り、それとは関係の無い話題で言い争ったりする。12人の意見や感情の揺らぎ方がとにかく楽しい舞台です。

 この雑感はネタバレ有りです。huluだと原作映画見れるらしいですよ。

 

劇場に入ると客席の奥、舞台には部屋のセット。壁と窓に囲まれた円卓と12脚の木製の椅子。円卓の中央にはボールペンの入った筆立て、向かって左手前に椅子、左奥に水の入ったピッチャーと紙コップ、ティッシュの乗った棚と椅子。右奥にも椅子。窓は右側。部屋の壁三方向には黒くて薄い布がはってあります。その向こう側がロイヤル傍聴席。歩き回ったりすることが出来る特別な席でお土産(指定キャストA4サイズブロマイド、台本)付き。所謂壁になって別視点から観劇が出来る席です。

 あと東京公演は本番中、実際にクーラーを止めていました(水分補給オッケーとのアナウンスあり)。途中で壊れていたそれが復活するシーンがあるとはいえじわじわじわじわ気温が上がっていって舞台の上の議論が白熱する中盤あたりでこっちも若干意識が朦朧としてくる。暑さ+脳みそフル回転でどうにかなりそうだった。じっと席で座っている観客でさえ結構きついのにこの状況下で喋りっぱなしで怒鳴ったりつかみ合ったりうろうろしたりする役者の方がはもっとやばいだろうなあと思います。いやだって汗見えるもん。もう吐く息が厚いときのそれだもん。

 大阪公演は流石にクーラーついてました。当日最高気温が確か37度。無理やで。

 2018年版は前述しましたがDVDを観てかなりシリアス、というとニュアンスが違うかも。真面目で堅実な作りというのが一番近いのでお笑い要素がそんなになかったイメージなのですが今年はそれに対してかなりお笑い要素が増えていました。後で書きますがだいたい12号さんのせい。特に東京の12号佐藤さんのフリーダムっぷりはいい意味で場を和ませ共演者を巻き込む飛び道具っぷり。

 話し合いの内容としては「父親を殺した犯人と言われる少年の有罪即ち生殺与奪をどうするか」っていうかなり重たい内容なんで、常識的には笑えるような話題ではないじゃないですか。でもあの12人の中で全員が全員それに真剣に向き合っているかというとそうじゃないし、特に7号さんや12号さんとかね。わたし的には怒りという感情って笑いと隣り合う部分もあると思っているから、ああ、それもありだなぁって思っています。例えば日常的にも「怒り通り越して笑いがこみ上げてきた」とか「キレ芸」とか「なんでこの人こんなとこで怒っているのか分かんない笑える」とかっていう気持ちになるときがある。1号さんとかは怒るスイッチが子ども扱いされるっていう、そこ!?みたいな所があって本人的には逆鱗で真剣に怒ってるんだけど傍からみたら滑稽っていう現象。あとはどうにもならなかったり煮詰まると人って笑いを求めたくなるっていうある意味感情を伝える事が出来てしまう人間だからこその現象が2019年版「12人の怒れる男」では強めなのかなあと邪推しています。上手く言えなくて申し訳ない。何言ってんだお前って言われそう。でも観てそう思っちゃったもの。

 そうは言ってもだいたい12号さんのせいなんですけどね!重たい舞台だと心を構えて行ったらチャッキーとナウシカジャンケンで腹筋を崩壊させられたわたしの気持ちが分かるか(褒め言葉)

 そして今回、劇団Patchの方が大阪含めて4名、大阪公演10号の室龍規さんが関西出身の方だということで飛び交う関西弁が2018年版との最大の違い。飛び交う関西弁。わたしは関西出身なのですがなんかこう、改めて関西弁って圧が強いんだなぁって。

 東京公演と大阪公演、別物なの?って聞かれるとやっぱり演じる方が変わると別物だよっていう至極当たり前の事しか言えないのがもどかしいけど、ふと思ったのはキムラ真さんが手がける極上文学のキャストの組み合わせの違いの妙でその面白さは何度も感じてきた事だよなあ、と。人が変われば舞台も変わるし、箱の広さも変われば立ち回りも変わる。それを改めて思い知った舞台でした。

 例えばわかりやすいのは1号さん。東京公演は登野城さんで大阪版は東さんだったんですが、東京公演の1号さんがなるべく穏やかに他の人を窘めたり淡々と審議を進めようとしているのに対して大阪公演の1号さんは割と激しやすい性格でよく怒鳴ってる。同じ登場人物でも演じる役者さんにとって解釈やアプローチが変わる。頭では分かってるんだけどだいぶ新鮮で、濃い観劇体験でした。

来年もやりたいとキムラさんが仰ってたのでその時は是非観たいです。

登場人物や各役者さんの感想も書きたいからちょいちょい更新するかも。いつになるやら。