時刻は22時50分

観劇とかの感想を緩く的外れに。

舞台「弱虫ペダル 新インターハイ編FINAL-POWER OF BIKE-」 雑感

 わたしが所謂2.5次元界隈の観劇を趣味として始めたきっかけは2015年、当時働いていた職場の同僚さんが薦めてくれた漫画、弱虫ペダルでした。最初はアニメを休日に一気見して序盤に主人公達とインターハイの座を競い合う二年生、手嶋純太と青八木一の〝チーム二人〟が好きになったんですね。(同僚さん(荒北推し)曰く、わかるだそうでした)

弱ペダ好きな仕事仲間達とナンジャタウンのコラボに行ったり、コラボカフェに行ったり、そんな中で同僚さんがある一本のDVDを持ってきまして。それが舞台「弱虫ペダル」第一作目だったのです。その頃のわたしはテーマパークのショーやパレードが好きだったり、あと劇団四季のWICKEDが大好きで、ある程度観劇趣味の下地は出来ていたとは思うのですが漫画原作を舞台化した2.5次元と呼ばれるエンターテインメントには全く縁が無く「テニミュなら知っています。下剋上ですよね」レベルの認識。そんな中でカラオケの一室で皆とゲラゲラ笑いながら見たのが舞台「弱虫ペダル」との最初の出会いでした。いや舞台としてじゃなくてお笑いDVDとして見てた節は否めません。ハッピーターンとか。
 そしてある日同僚さんとカラオケの一室で観たのが「野獣覚醒」。劇中でタイヤをからからと弄る御堂筋翔に何故だかとてつもなく惹かれてその夜に静かに村田充さんのウィキペディアを眺めていたのです。それが今こんな事になっています。いやー、人生って分からないものですね。
 それからペダステを初めて生で観たのが〝総北新世代始動〟でして、当時の事は覚えています。お正月かな、焼肉行った帰りにキャストが発表されて、村田充さんが出演される事に喜んで。で、チーム二人は出るよね?誰だろ?あんまり役者さん知らないからなぁ……とか思ってたら結構直前に配役が発表されて、それが鯨井康介さんと八島諒さんでした。手嶋純太役の鯨井さんはテニミュの海堂の人というのとPSP遊戯王タッグフォース武藤遊戯の人という事でちょっとだけ記憶にあったのですが(プレイ当時えらく渋い声の闇遊戯だな……と思ってたのを覚えています)、青八木一役の八島さんは全く知らない方で、ググっても情報があんまりなくて駆け出しの方なのか……と正直不安でした。この手嶋純太はジョッキでティータイムしそうという世間の評価に分かる……ってなったのも良い思い出です。
 チケットはもう手元に無くて、多分二回しか観てなかったかな。でもその二回は青八木一を演じる八島諒さんの魅力を感じるには十分で、気がついたら早上がりしてライビュ観にいってましたね。台詞の八割が「ああ、純太」なのに何故か惹かれる。彼のお芝居をもっと観てみたいな、という興味が湧くまでに。
 それから四年です、四年。四年ってあっという間なんですね。あっという間なんだけども色々あったなぁ、色々観たなあ。
 
 思い出話はこれくらいにして、ちょっと大変なご時世の中、観てきましたペダステ新世代FINAL。
 三日目も二回に分けるのか?と思ってたんですが流石に一タイトルに纏めてこられましたね。三日目は特にね、DNFするキャラクターもいるので二回に分けると……。
 楽しかったです。清々しかったです。四年間追ってきたシリーズが終わるという事への寂しい気持ちは確かにあるけど、それよりも清々しい気持ちが上回った。シリーズを追ってきて無事に終わるという経験が初めてだからかも知れない。終わってしまうというよりも走りきってくれた、確かにキャスト変更はあったけれども、それを抱えてペダステというコンテンツが新世代のゴールをきってくれたという感謝があります。
 大阪公演の金曜日マチネから観劇だったんですけれども、初回観劇はずっと泣いてた。あんまり観劇で泣くことが少ないんですけども。西田シャトナーさんの遠い夏のゴッホのラストは本当にすうっと泣いたな。それ以来な気がします。完全に走馬灯体験だった。シーンの一つ一つで過去の公演の思い出とか印象に残った所とかが過って泣く。勿論その場面の熱さや切なさにも泣く。不思議な体験でした。あのね、マスクの中がべしょべしょになるんですよ。
 青八木一のDNFは三日目の早い段階であるんですが(※補足すると彼は二日目終わりから脚を痛めていました)、手嶋純太を助ける為に必死でペダルを回す場面とそこからチームを先頭まで引っ張っていく場面、八島くんの感情の爆発のさせ方が素晴らしい。青八木一として走るのがそこで最後という事もあるけど、そこまで積んできた青八木一としての感情と四年間ペダステを走り続けてきた彼の感情がブレずに重なりあっている。あれだけ脚を回しているのに、台詞も聞き取りやすい。元々感情の発露の仕方が上手く、台詞も聞き取りやすい方なのですが本当に一級品だと思います。贔屓目と言われてもいい。
 あそこの感情の爆発具合や限界まで回す様が新世代始動やスタートラインのスプリントから良い意味で変わらないなぁとも思いました。あそこで合宿やファーストスプリントを思い出したなぁ。
 
 正直全部見所なんですけど、河原田巧也さんが演じる泉田塔一郎のラストスプリントは美しかったですね。河原田さん、唯一前年度シリーズから出演されてて、泉田をずっと演じ続けてこられた方です。前々回のキングダムでも思ったのですが兎に角スプリントが綺麗。今回のラストスプリントの直前に余裕の表情でストレッチをしている動作が入るんですけどもうそこから来るぞ……って観ている側のテンションが上がる。スプリントの緩急の付け方が滑らか。最後の「王者たれ」の台詞も重みが凄まじい。もう毎回心の中でスタオベしてた。
 あとは山岳賞ですね、二人の山岳賞。ここは原作追ってた中で結構納得がいってなくて、ファンの間でもエースである葦木場を出した点について賛否が分かれていた所だったと記憶しているのですが、黒田の台詞で一気に説得力が増したのはおお、と素直に納得のいったところです。エースの葦木場の望みと、チームの戦略面でのメリットを勘案してゴーを出した。確かにあり得る作戦だなぁ、と。
 富永勇也さんの葦木場拓斗も素晴らしかったですね。箱学のエースとしての重みや葦木場というキャラクターの底の知れない独特の雰囲気が身体から発せられていて、それでいて手嶋と山岳賞を競えるという抑えきれない喜びも孕んでいて。走りの圧もすごかったなぁ。
 手嶋純太役の鯨井康介さんには感謝しかなくて、ペダステをここまで魅せてくれてありがとうございますという思いが強いです。手嶋純太の一言一言をあれほど納得の出来るものに演じていただいて、そう、ストンと胸に落ちるんですよね。ヒートアップのティーブレイクとか、今回の無茶のくだりとか。鯨井さんが手嶋純太を演じ通してくれて本当にありがたかったなぁ、八島くんや鳴子章吉役の百瀬朔さんとかも、同じキャラクターを演じ続けるって簡単な事ではないし、キャス変でキャラを受け継いだ役者さんもプレッシャーはあっただろうし。この状況もあって終わってから色々と考える舞台でもありました。運営の方も大変だっただろうな。
 本当はね、病とかそういった不安ごとはないほうが絶対いいのですけどもね、わたし二週間ヒヤヒヤしっぱなしだったし。
 
 いやーでも、終わっちゃったなぁ、最高だったなー!またいつか観れたらいいなぁ、ペダステ。